神出鬼没の百鬼夜行
恐らく、実機に触れたことがある者。
そして、実機を入手したことがある人は更に限られるだろう。
それもそのはず、日本だけでなく全世界にファンがおり
希少なパーツを使用している為、毎回の生産ロットは極わずか。
日本と海外どちらにも出荷するため同じ仕様のものも、その時のパーツ次第。
もしかしたら、二度と現れないかもしれない。まさに、神出鬼没。その瞬間を待ち望んでる者は多いだろう。
今回は、Bigmuffの筐体をスモールライトで小さくしたかのようなMiniタイプ
September sound mini fuzz neo classic について解剖していこうと思います。
September Soundとは
タテミツヲ氏が主宰を務めるペダルブランド。自身もコクトーツインズなどギタリストとしても活動の経歴を持っており
特にBIG MUFF系のペダルに造詣が深く、希少なビンテージパーツを使用して作り上げるBIG MUFF系のfuzzペダルは国外からも評価が高い。実機は現在およそ8万弱ほどの値段だが、それ以上の価値があると思う。なお、フルレンジブースターなどfuzz以外のペダルも製作している。
私自身、以前より存在は知っていたが店舗販売されているのが限られている為試奏なども難しく、また出たところで即売は必死なこともあり弾いたことがないペダルにそれほどの金額を出せないと思っていたが、今では複数台所有する有様。非常に強い個性を持ったブランドだと思う。
マイブラッディバレンタインの、ケヴィン・シールズ氏とも交流があり実際に使用している1人である。
ケヴィン氏に向けて作られたfuzzもあり、シューゲイザー界の重鎮からも一目を置かれているほどのブランドである。
仕様・付属品
箱・保証書・取扱説明書
付属品はこのような感じ。新品でも購入したことがあるが基本的にこのセットになる。完備。
September sound のペダルは後ほど解説しますが、機能がいくつか搭載されているので説明書はちゃんと読んだほうが良いです。
もうこの時点でデザイン性が素晴らしい。書きたいことがいっぱいある。
同じくらい、謎な点もありその謎を解明するためいつか直接インタビューしてみたい。
今回紹介するのは、ミニペダルタイプのMINI FUZZのシリーズ。
他に、このモデルよりもコンデンサー類を見直しHi Gain に仕上げた Mini Fuzz Neo Classic Hi-G
アノダイズドゴールドと紫のレザーの組み合わせが妖艶な、ヴァイオレットラムズのサウンドに近づけた Mini Fuzz J
あとは、イレギュラーモデルとしてイシバシ楽器新宿店ペダルホリック1周年記念用に製作された Mini Fuzz rust がある。
Mini Fuzz Neo Classic Hi-G に関しては、Domicoのボーカル&ギターのさかした ひかる氏が使用していたのを記事で見たことがある。
このバンドは、曲もかなりイカしているので興味がある人はそちらもチェックしてみて欲しい。お勧めは「くじらの巣」
それでは、話を戻して筐体を見ていこう。
改めて記事を書きながら、筐体を見ているがカッコ良すぎる。
妥協がない、洗練されたデザイン。機能性。
そして、BIG MUFFへの強いリスペクトを感じますね。
まずは、デザインで大きな特徴となる中心に描かれたロゴ。BIG MUFFのラムズヘッド期ではここに「π」が描かれているが
September sound では【梵字】と呼ばれる文字を当てている。非常に秀逸なデザイン。
日本とも関係性の深い文字であり、和製BIG MUFFを表すに相応しい文字とも言える。
それぞれの文字の形で表されている、神の名前が変わる。一つの文字で複数の神を表すこともあり
例えばこのfuzzの文字では、【サ】「観音菩薩」「聖観音」を表す文字と思われる。
興味がある方は、ぜひこちらも調べていただきたい。
そして、ラムズヘッドをたらしめていた羊のデザインに見える部分のロゴは
ギリシア神話に出てくる、メデューサのようなデザインが描かれている。
どこか桃鉄のキャラクターに出てきそうなユニークさも兼ね備えている。
そして、LEDの場所だ
このように、左上の筐体を止めるビスが透明になっておりその下に仕込まれているのだ。
オリジナルのラムズヘッドは元々LEDが搭載されていないため、もし付けたい場合、穴を開け後付けで増設するしかない。
しかし、この付け方だとラムズヘッドの外観を損ねることなくLED問題を解決しているので
これは革新的だと思いました。ラムズの外観も損ねずにそのまま実用性が増した素晴らしいアイデアです。
筐体上部。男性の方であれば、このメカメカしい部分は惹かれるものがあるのではないでしょうか。
左側の突起部分は内側の細い部分と、外側の太い部分とで2段階に分かれているタイプのポットで
それぞれ、調節することが可能。外側がMAD BOOSTと呼ばれるBOOST量を調節。内側がINPUT FILTERを調節します。こちらは、スイッチとかは無いのでどのモードにしていても作用する。
ここの値で表情が全く変わるので、積極的にサウンドに関わってくる。
真ん中にあるスライドスイッチ二つは、上側がクリッピングダイオードの選択をするスイッチで
右側に固定すると、Normal mode になり正対象のシリコンダイオードを使用したラムズヘッド後期を彷彿とさせる極上サウンド。
左側に固定すると、Hybrid mode になり正対称のLEDとゲルマニウムダイオードの複合チャンネル。バリバリっとしたさらに攻撃的なサウンドになります。
その下側のスライドスイッチはMID SHIFTという3種類のモードを選択する事ができるスイッチで
右側 Nomal mode
真ん中 Flat mode
左側にすると Mid Boost mode
6種類のバリエーションが選択可能で、これ一台で様々な極上Fuzz サウンドを堪能する事ができる。
それでは気になる中を覗いていこう。
ぎっしりと配線が詰まっております。今回はここからさらに中を開けていきます。
後日談にはなりますが、戻すのがめちゃくちゃ大変でした。
先程のLEDが仕込まれていたのが本体とトップを留めるビスの下だったのでこのような配線が伸びており
恐らく後からも基盤などのメンテナンスしやすいようこのような端子で繋いでありました。
星の目印がついておりわかりやすい。
ベースに固定されLEDはこのような形で仕込まれている。
ビスを透明にして、そこに仕込んであるペダルはSeptember soundだけではないだろうか。
以前紹介した、RUMCOKEMUFFやRファzzなどは開けた時にすぐコンデンサー類が見れるようなっていたが
こちらはオリジナル同様、コンデンサー類は反対側についている。先ほど紹介したスライドスイッチなどぎっしりとパーツが詰め込まれており、組み上げが大変そうだが綺麗にまとめられている。
REV A1
「may the fuzz be with you(ファズとともにあらんことを)」のキャッチコピーも基盤に入っている。
ギターを弾いている人のお馴染みのイラストも健在。初期のものとかは箱にこのイラストのステッカーだけとかもあったようだ。
初期から知っている人は割と身近に感じるデザインかもしれない。
日付の刻印。そして、型番の箔もある。配線が重なってうまく撮れず苦戦した箇所。
あとはコンデンサー類は隙間から写真撮ろうかな…。と思っておりましたが
はい。やりました。「解剖っていうくらいなんだから、どのエフェクターでもこのくらいやれよ!!」って声が聞こえてきそうです。
断線とか、かなり気を使ってやるので怖いですけど、なるべくやっていくようにします。すみません。
とにかくパーツ類が多くて間違わないように忘れないように気をつけました。
舘さん直々のサイン。最近の制作されている物にはキャッチコピーにかけてと考察しているのですが、蜂さん(Bee)とかも描かれてるのですがこの頃はいないみたいですね。
私のはシリアルが1桁台。生産数的には二桁台かと思います。物自体をあまり見かけないので、September sound の投稿とかでの推測ですが。
基盤も剥がされて、随分と可愛らしいお顔になりました。ちょうど良いタイミングだったので全体クリーニングを施しました。
それではお待ちかねのコンデンサー類を見ていきましょう。
どどんと。ようやく会えました。感動です。
この並びを見ると安心しますね。
気になるトランジスタは型番が削られています。定番どころだと2N5133や2N5088などが使用されることが多いですが
定石を敢えて外して、傾向としては近いですが違うものとか使用してそうですね。
個人的には、後期のような明るさと分離感があったので後期あたりを狙ってそうな感じはするんですけどね。
このAllen-Bradleyの抵抗の上をイナバウアーしているジャイアンみたいなやつが可愛くて好きでした。調べても全然出てこないけど。
こいつは誰なんだろう。出来れば国産であって欲しい。
左側には、DALEの抵抗も挟まってますね。茶色いのがTRWの抵抗。ニチコンのアルミ電解コンデンサーも見られます。
mode用の、LED・シリコンダイオード・ゲルマニウムダイオードも間から顔を出しておりますね。
フジソクの8Y3011
このフットスイッチの押し心地が軽くて、ミニペダルにはちょうど良い感じ。カチッではなく、カシュみたいな感じでした。
これまでの私の記事をご覧いただいた方にはわかるかと思いますが
かなりFuzzのジャンルに偏りがありますが、どっぷりハマるきっかけになったのは
間違いなく、September soundの影響が強いです。それほどに魅了され、他のラムズ系ペダルのサウンドが気になったのです。
このmini fuzzは所有するSeptember soundのペダルの中で一番最初に買ったモデルです。
今では考えられませんが、3万少々で手に入れることができました。現在、海外では既に倍以上の価格で取引されることもしばしば。
日本での需要よりも、海外の需要の方が圧倒的に高いと思います。
当時、ラムズヘッドに触れたことのなかった私はまずノブの位置がおかしすぎて、壊れてるのじゃないかと返品しようと思ったほどでした。
後に仕様と気付くのですが、その時は知るよしもなくこれで大丈夫かと不安になりましたが、それ以上にアンプから飛び出てくる極上のサウンドに感動したことをよく覚えています。今までになかった衝撃でした。それから、ほぼ毎日のように中古市場を漁り探し続ける日々が始まりました。
サウンドチェック
それではサウンドチェックです。
サウンドは後期ラムズを彷彿とさせる明るく抜群の抜けを誇るサウンド。
音量を小さめに設定してても体感でき、他のペダルと比べても一線を超えてました。
独自のモードによりその幅はグンと広がります。
シリコンダイオードを使用した Normal mode は完全にラムズヘッドのフィーリングを継いでおります。
Normal ✖️ Normal のモードがスタンダードなサウンドになるのでしょう。
Normal ✖️ Flat こちらは少しGainが抑えられ,、オーガニックなサウンドです。
Normal ✖️ Mid Boost かなり凶暴な音圧を誇る、無敵感があります
こちらのモードは、スムースな伸びやかなサウンドなので、弾いていてすごく気持ちが良い。
Hybrid mode は ゲート感の強いぶちぶちとしたサウンド。ピッキング加減によっては死にかけのハエみたいな音も出て面白い。
Hybrid ✖️ Normal 単音での破壊力が抜群です。ゲート感はタイトなリフにもハマります。
Hybrid ✖️ Flat ややおとなしめには成りますが、
Hybrid ✖️ Mid Boost 凶悪なサウンドです。使い所を間違うと、バンドメンバーから嫌われそうです。
常に機能しているMAD BOOSTの加減を調整するだけでサウンドがガラリと変わります。
ある一定のラインを超えると急にクンと入り、過激なサウンドになります。音量の設定を注意しないと、アンプが飛びそうです。
私が好きなの Hybrid mode ✖️ Normal mode この組み合わせです。ブチブチバリバリとしたFuzz Factory のゲートを強めにかけた時のサウンド傾向ですが、抜け感と音圧が半端じゃないです。単音弾きでの説得力が違うので、オートワウやワーミーなど組み合わせた時に真価を発揮し、現代のサウンドにマッチしていると思います。深く歪んでいるはずなのに、ピッキングニュアンスの反応もよく強烈なサウンドは聞くものを圧倒するでしょう。
筐体が小さいのも作用しているのでしょうか。ミッドが締まり音像が抜けてくるイメージ。
MUFF系は大きいのがと思っている方もこのサイズなら問題ないでしょう。
September Sound は これ一台で完結してしまうのでは無いかと思わせてくれます。
弱点というわけではないですが、MUFF系を使っていて物足りなさを感じて他のペダルと合わせてみたり
この一台でかなり多彩に作れますし、どのモードにもハズレが無い。
ラムズ好きには是非試して欲しいブランドです。
入手経路
直接September sound に問い合わせるのが良いかと思います。希少なパーツを使用しているのでタイミングによっては難しいかもしれませんが
それ以外だとまず売っていることは少ないので、中古市場などで出るのを待つしかない。おすすめは海外サイトのReverb
まとめ
September sound mini fuzz neo classicについてまとめてみました。
もはや、愛でしかないです。海外の方からもよく連絡がきて、その人気ぶりが伺えます。
まさにFuzz のターニングポイントとなった一台で個人的にも思い入れの強い個体です。
過去最高の文字数でお送りしました。笑
それでは、また!
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