原子の鼓動、永久なる母なる大地
Phantom fxの【MOTHER】というと、まさに幻のペダルの一角であった。
元々、レギュラー品ではなくオーダーメイドで作れていたこともあり
一部のマニアから圧倒的な支持を誇り、血眼で探しているのファンも多かったはず。
活動停止していた頃にその存在を知った私としては手に入れられるはずもなく
稀に、市場に現れても高額・即売れは必死であった。
そう言ったことからも、再販を望む声も多くコアなファンからも支持が多いペダルだったと思う。
【PEDAL SHOP CULT】 から筐体デザイン等を一新して再販されたのが記憶に新しく待望の復活。
私としても、活動の再開は非常に嬉しくあの【MOTHER】がリアルタイムで手に入れられると思うと
10年越しに好きだったゲームの続編が出たようなあの感覚が蘇り、心が躍ったものだ。
それ故に、旧仕様の【MOTHER】は更に神格化されてきているとも思う。
私自身もどれほど新旧でサウンドの違いがあるのかずっと興味があったのでこんな絶好の機会を
今回、実際に旧仕様のMOTHERを解剖していきたいと思う。
付属品・仕様
付属品としては、箱がついておりました。
説明書等付いていたのかは不明ですが、オーダーメイドで受付していたという点を考えるともしかしたら元々付いていなかった可能性がありますね。
この時期の箱がとても好きです。以前、KowloonとFluidのカスタムカラーを所有していた時もこの箱に入っていたので機会があれば買い直したいですね。
箱底面に製作された年と、月日が刻印されていました。
女性のデザインが施されたビンテージの切手のようなスタンプもありました。
外箱の方には【2012.FEB.16】と書かれていましたが、筐体の方の日付と若干ズレがあったので後ほどご紹介します。
それでは筐体をご覧ください。
流石、美しい筐体のデザインです。
メインカラーは【メタリックブルー】のようなテーマですが全体的に金のラメのようなものが散りばめられておりグッと引き締まって見える印象。
色のムラが退廃的な雰囲気をより感じさせ、薄くなった箇所からピンクやグリーンのようなカラーが所々見えており存在感を唯一無二の物にしております。
Phantom fx特有のファンタジー感の強いデザインですが、鉱石であったり細やかな部分までイラストされており、洞窟をなんとなくイメージしました。
MOTHERのタイトルはPink Floidのアルバム「原子心母」から取ったとのことで、製作者の戸高さんがデヴィット・ギルモアのファンだと公言しているあたりからも強いリスペクトを感じます。
LEDのカラーはオレンジ色。溶鉱炉を彷彿とさせます。
それでは中身を見ていきましょう。
デデンと。まずはプレートの方から。
モデル名は言うまでもなく、MOTHER
SN#14 製造日が箱に書かれていたものと違っており、2012 Feb . 15となっております。
以前はこのステッカーが貼られていたことも多かったですが、リニューアルしてからはボディ外の裏面に貼られてあるようになったので
復活することはあるのでしょうか。しっかりと戸高さんのサインが入っており、ご本人の組み上げで間違い無いです。
内部配線になりますが、一部モールドがされておりトランジスタ等判別が難しいものがありました。
ギッシリと詰まっていますね。既にWIMAの赤い反り立つ壁と黄色い反り立つ壁が見えております。
こんなサスケのステージは嫌ですね。腕がパンパンになってしまいそうです。
トランジスタにはフェアチャイルド社製の2N7000が使用されているのを発見しました。
新MOTHERでは2N5133も使われていたので、モールド部のトランジスタらしき物はそうなってくるんでしょうかね。
POTはALPHAだと思われます。ジャックはSwitchcraftのものでした。
ゲルマニウムダイオードもしっかりと鎮座してあります。挟み込むように置かれた2N7000が守ってるみたいですね。
ビルダーの戸高氏により、一つ一つ選定されこの基盤に組み込まれているのが伝わってきます。
ビッグマフやピートコーニュッシュのファズに強くインスパイアされているみたいですね。
サウンドチェック
それではサウンドチェックですが
昨年の8月頃にCULTのMOTHERが当選したので、それと弾き比べてみましたが
旧MOTHERの方が、ザラザラとした無機質な感じで所謂fuzzっぽさが強いのですが、不思議なことに分離感が良く、オーバードライブを使っているような感覚で扱えるので柔軟な使い方ができる感じがします。TONEを上げていくと、ラムズのような毳毳しいサウンドも見えてきます。
オーダーメイドで作られていたモデルでもあるので、他の個体がどうとかは言えませんが少なからず私の旧MOTHERはリニューアルした新MOTHERに音の傾向も近いと思います。正統に進化した形があれなのだと納得ができました。BIG MUFF系のサウンドに分類されがちですが、マフよりももっとスムーズでクリーミーな感じがします。コンプレッション感も丁度良いので、ロングサスティーンを生かした鯨の鳴き声のようなフレーズから、ザクザクとしたリフを刻むにもピッキングに喰いついてくる感じが堪らなく気持ちが良いです。
以前ご紹介した、Phantom fx Sabbath fog は初速が速すぎて、なんなら弾く前に音が出てる印象でしたが
こちらのMOTHERはちゃんとピッキングの加減にリニアな反応を見せてくれます。
どことなく、Civil warのようなクリーミーさも感じたのですが私だけなんでしょうか。確実にBigmuffと何かを足して割った感じがします。
今回は、念願の旧MOTHERを手に入れ比較が叶ったわけですが
2012年の段階で『プロダクトとして完成していたこと』そこに感銘を受けました。
私が持っているものの製造がその年なのでそう書きましたが、構想の段階からブレていない、芯のようなものを感じます。
完全に個人的な主観の話なので、ただのペダル好きの戯言と思ってください。
新・旧通して、デザイン・サウンド・基盤どこを見ても素晴らしいです。
Phantom fx製品共通して感じられる、音の立ち上がりの速さ・分離感・独特の退廃感。
ハマる方にはとことんハマる、魅力をもったブランドだと思います。
然るべき人の元に収まって使い倒して欲しいですね。
入手経路
現在はPEDAL SHOP CULT の新MOTHER がウェイティングリストに入れば順番で手に入れることが出来る。
ただ、少なく見積もっても100人近くは順番待ちされているので半年から〜1年くらいは見た方が良いと思います。
今年(2022年)は、新たなペダルも発表されそうなので生産ペースが落ちるとどんどん後になってしまうので
欲しい方は早めに応募しといたほうが良いでしょう。
旧MOTHERに関しては、中古市場を漁るか、所有している方に譲っていただくかしか無いでしょうね。
よほどのこだわりがない限りは新MOTHERで良いと私は思います。
まとめ
今回はPhantom fx MOTHERをまとめてみました。
情報が少なく、まさにPhantom要素が強いペダルですが
そこがまた魅力を際立たせているのでしょうね。
今年は新しいペダルが発表あるかもしれないので
Sabbathかなーって期待したりしてます。
独立ブースタータイプの2IN1ペダルも面白いなぁ。
楽しみに待ちましょう!それでは、また!